「内製と外注、結局どっちが得なんですか?」
製造業の現場で、いちばんよく聞かれる質問です。
正直に言います。僕の答えは「全部、外注してください」ではありません。実際、お客さんに「これは無理に外注しなくていいですよ」と言ったことも、何度もあります。”ただ撮るだけ”の内容で、予算も限られている——それなら、自分たちで撮ったほうがいい。映像屋がそう言うのは変かもしれませんが、本当のことです。
20年、いろんな工場を撮ってきて、内製で十分な現場も、外注すべき現場も、両方この目で見てきました。この記事では、ポジショントーク抜きで、その「線引き」を書きます。
「安いから内製」で失敗する、隠れコストの正体
動画マニュアルや研修動画を「内製(自社で撮る)」か「外注」か。多くの会社が、まず値段で比べます。外注は数十万、内製はスマホがあればタダ。だったら内製だ、と。
でも、見落とされがちな”隠れコスト”があります。撮り直す時間、編集に慣れない社員の残業、そして——作っても使われなかった動画。「安いはずの内製」が、気づけば一番高くついていた、という現場を何度も見てきました。
内製の最大の落とし穴は、撮影スキルより”更新が止まること”
内製でよくあるのが、技術的なつまずきです。ピントが合わない。iPhoneでアップにすると画が荒れる。説明している声が、工場の機械音にかき消されて聞こえない。——内製動画の撮り直し相談で、実際によく見る”あるある”です。
でも本当の落とし穴はその先。最初の数本は気合いで作れても、更新が止まることです。製造業は設備が変わり、工程も改善される。そのたびに動画も直さないといけないのに、忙しい現場では手が回らない。結果、古いままの動画が放置され、誰も見なくなる。内製で一番怖いのは、撮影スキルより”続かないこと”なんです。
外注が高く感じるのは、”何を買っているか”を見ていないから
「外注は高い」とよく言われます。でも、値段だけ見て”何を買っているか”を見ていないことが多い。
プロに頼むと何が変わるか。ピントが最後まで安定する。寄っても画が荒れない。機械音の中でも、説明の声がちゃんと届く。地味ですが、これは”見られる動画かどうか”を分ける決定的な差です。せっかく作っても、ピンボケで音が聞こえなければ誰も最後まで見ません。外注で払っているのは、「最後まで見てもらえる品質」への投資なんです。
現場で線を引くなら——内製でいい手順/外注すべき技術
じゃあ、どこで線を引くか。20年撮ってきた感覚では、こうです。
内製で十分なもの:単純な作業手順。工程が短く、変化が少なく、画質や音にそこまで神経を使わなくていいもの。そして何より、社内に「撮るのや編集が好きな人」がいること。これがあると内製はちゃんと回ります。
外注すべきもの:ベテランの”暗黙知”のように言葉にできない技術(これは別記事【①技術継承】で詳しく書きました)。寄りの画質や、騒音の中での音声がカギになるもの。更新の手間まで含めて任せたいもの。滅多に変わらない基幹技術は外注、頻繁に変わる手順は内製——この用途分けが、いちばん損をしません。
ハイブリッドという手:「最初の1本だけ外注」
全部を白黒で分けなくてもいい方法もあります。最初の1本(基準になる完成形)だけプロに撮ってもらい、それを”見本”にして、あとは社内で撮り足していく。これがハマる現場は多いです。
ただし効かないケースも。社内に撮る人・編集する人が一人もいない場合は、結局2本目以降が続きません。そこは無理にハイブリッドにせず、最初から外注に寄せたほうがいい。
結局どっちが得か:3つの質問でわかる、あなたの工場の正解
迷ったら、この3つを自問してみてください。
- その作業は、頻繁に変わるか? よく変わるなら内製寄り(更新を毎回外注すると高くつく)
- 画質・音がシビアに要るか?(細かい手元、騒音の中の説明など)要るなら外注寄り
- 社内に、撮る/編集が好きな人がいるか? いれば内製が回る、いなければ外注
3つとも「内製寄り」なら、自分たちで大丈夫。1つでも「外注寄り」が混じるなら、そこだけプロに頼むのが結局いちばん安く済みます。
それでも迷ったら——”ちょうどいい関わり方”を一緒に選べます
最後に。ここまで読んでも「うちはどっちだろう」と迷ったら、判断だけ相談してもらってOKです。冒頭のとおり、僕は「これは内製で十分ですよ」と正直に言います。無理に外注は勧めません。
それに——「内製でいく」と決めた場合も、その立ち上げをお手伝いできます。最初の1本だけプロが入って”見本”を作る、撮り方や音の録り方のコツを現場でお伝えする、相談役として時々チェックする。”全部外注”でも”完全に自前”でもない、ちょうどいい距離感を一緒に選べます。


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